Q&A
取締役が自己破産をするとどうなりますか?
1 会社と委任関係について
会社と取締役の関係は、法律的には委任契約と理解されています。取締役は会社から、会社の経営という仕事を委任されていると考えるわけです。
そして、この委任契約について委任を受けている側が自己破産をした場合には、委任契約の解除事由になることが法律上決められています。
したがって、取締役が自己破産をした場合、その取締役は、一度、会社の取締役の立場から退かなければならなくなります。
もっとも、破産歴がある人を、再度、取締役に選任することは禁止されていませんので、あらためて、株主総会等で自己破産をしたその人が取締役に選任されることも可能です。
2 管財人選任の可能性について
なお、取締役が単に会社との間で委任契約を結んでいるだけであれば破産手続きはシンプルですが、家族経営の中小企業の取締役の場合には、多くの場合、取締役が同時に株主として会社の株式を所有していることが少なくありません。
このような場合、たんに委任契約の解消のだけではなく、取締役の破産手続きの中で、会社の株式の財産評価をする必要があります。
また、一人会社の取締役兼100%株主である債務者など、取締役が単なる取締役にとどまらず、会社の代表者であった場合には、債務者個人の財産と会社の財産の混同が生じやすくなります。
そのため、一般の給与所得者の債務者が自己破産をする場合に比べて、取締役が自己破産をする場合には、破産管財事件になる可能性が相対的に高くなります。